何も書かずに印税がほしい

 今年の夏は本当にたくさんのことがあったし、もしかすると今までで1番濃い夏だったかもしれない。そんな夏もある日を境にスッと終わり、秋がやってきた。

 秋がやってきたらやってきたでこれまた大変で、なんやかんやで家が揉めに揉め、半分家出めいたこともするなどし、一時は穏便に先送り解決はしたものの、決して目の前の問題から逃れることはできない。自分の人生を、自分で切り開いていかなければならない。

 僕は何がどうであろうと映画の道に進みたいし、それ以外の人生などは基本的には考えられない。ずっとずっと映画を観て育ってきたし、今自分という人間を説明するのに映画なしでは到底不可能だし、何より映画そのものに恩返しをしたい気持ちがある。

 そんな半分綺麗ごとめいた理由とはまた別に、僕は本当に表現せずにはいられない人間だし、人間のできる行為において表現以上に美しい行為なんかこの世には存在しないと思っている。人生は表現に始まり、表現に終わる。この文章だって表現だし、呼吸も、血の流れも、リビングで流れている2時間ドラマだってもちろん表現だ。人間も神の表現物かもしれない。

 だから僕はこの先一生表現することをやめたくなんかないし、必ず映画を撮り続けていきたい。映画を飽きたにしても、小説も書きたいし、バラエティ番組や音楽ライブだって演出したいし、現代アートもやりたいし、人間のできる表現全てしてみたいという気持ちにあふれている。そして突然、スッと死にたい。そしてまた違う世界で、全く違う人生、たとえば表現なんか一切しない人生、なんかを送ってみたい。