読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

豚肉パッサパサの豚汁

 中学生の時に映画の虜になって以来、ずっと高校時代も映画が好きだった。高校は普通のごく一般的な高校で、たくさん友達はできたけど映画について喋れる友達はひとりもいなかった。その時から「大学では映画を勉強したいなあ。同じ夢を持った映画好きの友達もたくさんできるんだろうなあ」と漠然と思っていた。

 でも、高校はそこそこの進学校で、芸大に進む人なんかはまずいなくて、「せっかくここまで勉強してきたのに試験楽勝の芸大なんか行くのはバカらしい」的風潮があり、実際自分もほんのり芸大に惹かれながらも基本的にはそう思っていた。

 そして高校を卒業し、総合大学の芸術学科に進学した。映画の授業も専門科目でチラホラあったし、芸術学なら自分の映画作りにも役立つし、「そもそもわざわざ大学で映画なんか勉強しなくても独学で学んでやる!」という意気込みもあった。

 でも、驚くほどに友達ができなかった。「映画の話ができない時点でもうこの人とは話せない」みたいなくだらない自意識と「どうせこいつら一番偏差値低い学科だから入ってきただけで芸術とか興味ないんだろ」という思い込みで、誇張なしにたったのひとりも友達ができなかった。たったのひとりも!!

 本当に心から大学を憎んだし、大学に行く度に校舎が爆発して大学生全員焼け死ぬ妄想ばかりしていた。Twitterを開いては「大学はクソ」と呟いて、ただひたすらドン底の孤独にまみれて、専門学校や他の芸大で映画を学んでいる人たちに劣等感を抱き、今振り返ればそれはそれで楽しかったりもするんだけど、とにかく辛い辛い三年間が続いた。そして二回留年したので一年生のまま退学した。

 さあ、どうしようとなった時に、思い切って就職も考えた。意味もなくハローワークに通い詰めてみた時期もあったし、投げやりになって親に黙って家出したりもした。携帯を取り上げられていた時期もあったので、誰とも喋らずLINEもせず、ただただ自分の将来の不安だけが重く圧し掛かってくる日々もあった。

 そんな時に両親が「どこでもいいから四年制大学は出たほうがいい」的なことを言うので、「近いし映画勉強できるしあの大学でいいかあ」と思い、ぼんやりとした気持ちでオープンキャンパスにも行かずパンフレットもろくに読まずに受験をした。今振り返れば本当に両親には感謝してもし切れないのだけど…

 そして合格した。でも何だかまだ自分がその大学に行く覚悟もないしなんだかなあと思いながら映画を撮ったり意味もなく遊んだりの日々が半年ぐらいあった気がする。

 そして大学に入学した。いろんな人と映画の話ですぐ盛り上がって、めちゃくちゃ友達ができて、授業もどれも興味深くて、居心地も良くて、とにかくとにかくめちゃめちゃめちゃ楽しいのが今。この楽しさがいつまで続くかわからないという不安もないではないけど、今楽しいので問題ないし、たぶん今後もずっと楽しい。

 やっと、やっと本当の大学生になれたような気がした。ようやく「18歳」になれたような気がした。きっとこの「18歳」は高校からストレートで今の大学に入学したとしても得ることのできなかった「18歳」だろうし、全ての点と点が繋がってできたかけがえのない「18歳」なんだと思う。今は21歳、今年で22歳になるけど、目一杯、大学生を楽しもうと思う。

 両親、今まで自分の人生に関わってきた人たち全員、心からありがとうの気持ちが強いし、人生はやっぱり最高だし、21&22ジャンプストリートで描かれていたことは全て本当だった。なんて楽しいこの世に生まれてしまったんだ!!人生!!夢を追い!!クソくだらないことで笑って騒いで酒飲んで吐いて!!今までバカにしてきたことの全てが楽しくて、自分がどんどん良い意味での「ただのクソ凡人」になっていく感覚が心地良くて…

 必ずこの四年間で偉大な成果を出してみせる。人を殴り殺してでも、握り潰してでも掴みたい夢がある。そのために俺はわざわざ大学に再入学したんだ。頑張らないとなあ…彼女いないなあ