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2016年映画ベスト10

 2016年もたくさん映画を観たので、その中から10本、好きな映画を選び出した。基準は、2016年に日本で公開されていて、ちゃんと映画館で観た作品の中から。2016年もたくさんの素晴らしい映画をありがとう!!

1位「ザ・ウォーク

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 2015年に一度だけ観る機会があったので、2015年ベスト10にも入っているのだけれど、今年あらためてIMAX2回を含む5回を劇場で観て、まさにまさに人生の一本だなあ、と思った。ザ・ウォーク崩れの自主映画をたくさん撮ったし、それで賞を頂いたりなんかする2016年でもあった。この映画に何度救われ、勇気づけられ、俺はまだまだ人間としていける!!と奮い立たされたことか!!こういう映画があるからこそ、自分は映画を観続けるし、撮り続けるし、この世界で生き続けようと思えるんだと思う。これからもよろしくお願いします。

2位「ゴーストバスターズ

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 正直、レーザーIMAX3Dで観なければここまで好きにはならなかった。それぐらいレーザーIMAX3Dでのこの映画の迫力は人類映像史を超越していたし、あんなにも映像の力だけで何もかもを持って行かれた瞬間は今まで一度もない。感情の追い剥ぎとでも言うような、圧倒的、圧倒的映像体験だった。これを言う度に一部の層からめんどくさい反論を喰らうので滅多には言わないけど、レーザーIMAX3D版は、通常上映2D版とは完全に別の作品(通常上映2D版も観た)だとさえ思う。2016年夏、映画の未来が、エキスポシティに確かにあった。

3位「ヒメアノ~ル」

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 昔から吉田恵輔監督の大ファンで、これもかれこれ1年以上前から楽しみにしていたのだけれど、その半端ではない期待値の更に上をゆく気色の悪い映画だった。

 とにかく森田剛がすごいという話になりがちだけど、この映画における濱田岳のあの芝居!!死ぬまで眺め続けてられるね!!吉田監督のドキュメンタリー映画スレスレ演出も殺しの場面を盛り上げる盛り上げる、それでいて最後の最後はちゃんとあえてアンバランスに物語を落として、ただサイコを扱っただけの全うなエンタメには仕上げてこないあの斜め上から攻める感じ!!何もかもがツボでツボでたまらない!!

4位「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」

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 こんなにも監督本人から直接語りかけられているような感覚になる映画を知らない。これはただの映画ではないし、スピルバーグが(自分がジジイだと自覚した上で、存在する)若い世代に贈る最高のプレゼントだと思う。

 いくら夢を与える仕事だと言っても、我々ジジイ(スピルバーグ自身)は結局保守的な思想から永遠に抜け出せないし、気分次第では結局戦争だって賛美しちゃうし、自分の身を守るためなら夢じゃなくて「悪夢」だって平気で作っちゃう。だから我々ジジイをいつまでも持ち上げるんじゃなくて、君たち、子供たちがこれから世界を作っていかなきゃならないんだよ、という優しすぎる説教。そのまま突き放すわけでもなく、かと言って甘やかすわけでもないあの最高に美しすぎるラスト。子供たちの声はいつまでも世界中に響いて、老人たちの耳元まで届き続けるのだ。

5位「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」

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 バートンが天才特有の孤独感を何も噛み砕かずにそのまま映画で語っていると仮定すると、この映画はその孤独感を全人類にわかるところまで普遍的なものに味付けし直して、綺麗なお皿で美味しそうに盛り付けて食べさせようとしているという印象がある。大抵そういう映画はものすごく巧妙でこざかしかったりするものだけど、この映画はそれを絶妙にスカしたり、ただ純粋にしくじっていたり、味わい深い愛嬌がある。

 すごく強烈な劣等感映画でありながら、すごく真意に作られたフェミニズム映画で、観ている最中何度も何度もボロボロに泣いていた。過去なんか振り返るな!!なんてのは全くの嘘で、過去を振り返らずして人間は未来を創ることなんかできない。過去と未来は常に表裏一体で、何が大切で何が大切じゃないなんてことは絶対にないのだ。そういうテーマとフェミニズムとの絡め方がもう絶妙に上手くて、最後のキメ台詞なんかもう本当に……すごく良い名画だったなあ

6位「LOVE 3D」

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 映画を好きになり始めた頃がちょうど「アバター」の影響で3D映画元年だなんて言われていて、自分もそれに乗っかって3Dで観れる映画は片っ端から3Dで映画を観ていた。その名残で今でも3D映画は出来る限り3Dで観ている(3D上映少ない劇場は最低)

 そしてこの3D映画、3D映画のひとつの到達点だと思い、観終えた瞬間、今まで観てきた3D映画が一気に走馬灯のように駆け巡った。こんなにも3Dというテクノロジーの本質を、映画の情緒に乗せて描き切った3D映画!!かつて存在しただろうか!!

 もうあの頃には戻れない記憶、鮮明だけれど手は届かない、そんな切ないファンタジーが立体視で迫って来る。迫って来るけど、もちろん映像なので手は届かない。劇場のスクリーンの奥に、もうひとつ部屋があるのではないかと錯覚するカメラアングル。あの部屋で、何が行われているのかを、観客は演劇を観劇するかのようにリアルタイムで追った気になるのだけれど、それも実は全て虚構で存在しない。立体、というだけで本当はただの3D映像なのだから……映画はいつだって人間の儚い記憶、取り戻せない思い出……

7位「何者」

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 本当に観終えた瞬間、どうしようもないぐらいに感動した。あの底意地の悪い原作を、こういう解釈で見せてしまうのかああ!!これは一本やられましたわああ!!と心の中で叫び続けていた。ある意味、6位の「LOVE 3D」とすごく似ている映画かもしれない。

 序盤から中盤になっても延々と微妙なテンションの芝居を続ける役者陣、変なタイミングで流れるスカした音楽、棒読み狙いの定型文的な台詞、全ては主人公の自意識からなるもので、ここまでズカズカと人間の自意識に踏み込まないで!!やめて!!精神的に死ぬからやめて!!という映画。自意識過剰の人ほど深く深く刺さる映画だと思う。

8位「テラフォーマーズ

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 三池崇史監督の映画なので、最初から本気のSFなんて求めるほうが間違ってる。物語の設定や企画自体をバカにしたブラックジョーク大作として攻めてくるに違いない、と思って観に行ったのだけれど、観てみると8割は裏切られた(逆に2割はそうだった)

 想像以上にちゃんとSFをしっかりガッツリやっているし、SF映画的快感に満ちている。空飛ぶ車を真下から捉えるカメラアングル、宇宙船の窓がバカァ!!って開いた瞬間に浮かび上がるタイトル、小型衛星機のわけのわからない躍動感、かつで小学生の頃に胸をときめかせながら観ていたチープなSFドラマの、あの感覚がじんじん蘇ってくる!!

 そうだった。俺は幼い頃、こういう興奮の仕方を映画でしていたんだ、と十何年ぶりに思い出したような気がした。あれからアート系の映画を観たり、前衛芸術にかぶれたり、村上春樹に没頭したり、いろいろあってすっかり変わってしまったけれど、かつて俺はこういうものにドキドキワクワクしていたんだ!!と思った。そして泣いた。2016年観たどのSF映画よりも輝いていたSF映画。

9位「リップヴァンウィンクルの花嫁」

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 ものすごくいろんな側面の魅力を持った映画だと思うけど、何にせよ死ぬほど面白い。体感時間1時間ぐらいだった気がする。あれよあれよと言う間にいろんなところに主人公と一緒に引きずり回される3時間。これは一種のアトラクションだと思う。

 不思議の国のアリス顔負けなぐらいメルヘンチックでロマンティックかと思いきや、警察密着24時顔負けのリアリティで主人公の顔面を何度も何度も強く殴る。精神をどういう状態に持って行けばこんな脚本を書けるんだろう。特に、ただの一場面があっと言う間に盗撮映像になってしまうあの瞬間は、吉田恵輔映画級の圧倒的グロテスクなリアリティがある。

 岩井俊二の映画は他に観たことないのだけれど、とにかく女優が綺麗で綺麗で、黒木華はこの映画を観て女優であるよりもまず女性として、さぞかししあわせだったんだろうなあと思った。自分もそういうしあわせを女優に感じてもらえる映画監督になりたいなあ

10位「アングリーバード」

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 アングリーバード最高だったよ!!って言うと100%の確率で「は?」って言われるんだけど、本当に面白い映画だった。怒の感情の捉え方が真逆な「怒り」と比較してもすごく面白い映画だし、人種問題の決着の付け方が真逆な「ズートピア」と比較しても最高に面白い。単純に一本のアニメーション映画としてもすごくクオリティが高いし、何よりカメラワークがラリってる。

 どんな劣等感もないよりはマシで、何だって見方を変えれば武器にできるんだという前向きなメッセージと、ストレートに言うと「移民はクソ!!」っていうすごく後ろ向きなメッセージ。最後に罪滅ぼしみたいな適当な和解シーンを入れてるのも最高にかわいいし、ズートピアと並んでこういう映画もしっかりヒットするのが、強い国アメリカなんだなあとしみじみ思った。

 

2016年はいろいろあったりなかったりで例年と比べてあんまり劇場で映画を観れなかったので、今年こそはしっかり劇場でたくさんの映画を観たいと思う。楽しい映画、楽しくない映画、くだらない映画、切ない映画、たくさんの映画に2017年も出逢えますように!!!

 

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お雑煮のお餅で死にかけて以来、お餅は箸で細かく切ってから食べる