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鍋の蓋

 心が激しく乱れている。どれぐらい乱れているかと言うと、ほんの3時間ぐらい前にポケモンGOが配信されて、それに夢中な歩きスマホ大学生であふれ返った今の大学ぐらい乱れている。

 とてもとてもめんどくさいことばかりが続いていて、新しい映画を映画館に観に行く気力さえも湧かないし、ずっと大好きな映画ばかり繰り返し大学や家で観ている。映画に救われ、映画に殺され続けてきた人生。なんで俺は映画なんか好きになってしまったんだろうと、今でもふと電車に揺られながら思う。

 もっと普通の大学生になりたかった。普通の、普通の、普通の、サークルに入って、わちゃわちゃと合宿なんかに行ったりして、わちゃわちゃと安いお酒を飲んだりしながら、わちゃわちゃの恋をしたり、はちゃめちゃの青春をしたり、そういう普通のクソ大学生になりたかった。

 すると必ず「そういう大学生にだって彼らなりの苦労とかあるんだ!」などと言ってくる人がいるが、そんなことはわかっている。わかっていてても、言いたくなるときがあるのだ。人間とはそういうものなのだ。完全に理屈だけで行動したり、思考できたりするのなら苦労なんかしない。できないんだよ!

 明日は映画を撮る。自分で自分を超える、新しい映画にしたい。俺が映画を作ることをやめたら、俺に人間としての価値は何も残らない。価値のある人間になりたい。誰かに必要とされたい。その誰かと言うのは自分でも良いのだけれど、今のところ自分は自分を必要としていない。豊かな暮らし。