毛玉取り器

 この世界の価値基準がすべてだと思い込んでいる人が嫌いでたまらない。なんでこの世界だけがすべてだと思うのだろう。自分の目に映り込んでいる世界だけが真実の世界だと思うのだろう。生前の記憶がなければ死後の世界のことも知らない、そんな状態でよくこの世界至上主義的な態度がとれるね!僕にはよくわからないよ!

 煙草をたくさん吸って、お酒をたくさん飲んで、仮に早くこの世界を去ることになったとしても、来世はその分長生きできるシステムだとしたら?どれだけひとつの人生で長生きしようが、結局トータルの人生時間はみんな同じだとしたら?

 こんな仮定も考える。もしこの世界で「悪い」とされていることが、死後の世界では全て賞賛されていたとしたら?この世でした「悪い」ことの数だけ死後褒められて報われるかもしれないとしたら?そんなことはありえないだなんて誰にも断言できない。この世界のどんなに偉い人でも、死後の世界のことは何にも知らないのだから!

 世の常識なんか所詮は最大幸福数を考えて人為的に作り出された多数決ルールなのだから、さほど重要だとは思えない。実際のところ、人を殺してはいけない理由をちゃんと明確に述べられる人なんかほとんどいないし、みんな自分の言葉で説明もできないモヤモヤとしたルールの下で惰性で生きてる。この世はどこまでも曖昧で、だからこそ死後の世界にはもっと明確な真実があるかもしれないとたまに思うのだ。

 それでもこの世界は何だかんだで結構楽しいし、自殺しようだなんて全く思わない。悲しむ人がいるからとか、与えられた人生は全うしなければならないからなんてそんなくだらない理由じゃなくて、ただ単純に「楽しいなあ」と思う瞬間があるからだ。楽しい人生。飛び降り自殺をした女子中学生のふたりは何を思って自殺したのだろうか