数メートル先の風呂場の乾燥機のうなり声を聞きながら

 2015年も気が付けば二十数日で終わりだ。月並みな感想だけど、本当にあっという間だった。寝正月に始まり、春がやって来て、20歳になっていろんな人とお酒を飲みながらいろんな話をしているうちに夏が始まり、夏が散り、秋が一瞬だけ通り過ぎ、気が付けば冬だった。1年ってこんなに短くて儚いものだっけ、と今この文章を書きながら胸を締め付けられるような切なさを感じている。まだ二十数日ある2015年、そんな2015年とはもう二十数日でお別れなんだ。もう一生会えないんだ。悲しくもあり、来年に胸を弾ませるきっかけでもあり。

 今年はいろんな人に出逢っていろんなことを考えた。そしてたくさんの絵を描き、小説を書き、映画を撮った。それらたくさんの作品たちのほとんどは陽の目を見ることもなく、僕のパソコンの小さなフォルダの中でひっそりと息を潜めている。「僕たち、何のために生まれてきたのだろう?」と未来への不安と希望を胸に抱きながら。その様はまるで僕そのもののよう。作品は僕であって、僕は作品なんだ。そんな当たり前の結論に到達したところで映画の編集のエクスポートが終わって、またひとつ新しい短編映画がこの世に産み落とされる。必要とされるかもわからない、この不安定で何の勝利の確信もない世界に。

 今、この真っ暗な世界にただ感じるのは不安。不安がもやもやっとピントも合わぬままふわりふわりと掴みどころなく浮遊している。僕はその不安を捕えることもできず、かと言って堂々と野放しにすることもできず、ただじっと見詰めている。他人は「なぜ見つめるの?見つめれば見つめるほど苦しくなるだけなのに」と言うけれど、僕はたぶんこの不安をずっと見詰めなければらない。でないと自分という人間をちゃんと受け止めて理解することができない。自分との対話を拒絶した瞬間、人はただの世界の言いなりになる。僕は世界の言いなりになんからない。世界を創る人間でありたい。もう誰かに指図されたり命令されたりするのはまっぴら御免だ。自分の世界で、ゆったりと自分を楽しみたいのだ。

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 とにかく今ピザを食べたいのに、すぐにピザが目の前に出てこないこんな世界、僕は信じない!「人間」が「求めていること」が「即」「実現」しないなんて理不尽なことがあっていいのか!いいわけがない!ピザ食べたいよ!